2023.12.08

POPとIMAPの違い、どちらを選ぶべきかの判断基準

MEDIA

電子メールを受信するための設定方法には、POPとIMAPという2つのプロトコル(通信規約)が使用されます。どちらを選ぶべきか判断する際には、使い方や状況に応じた選択が求められます。この記事では、POPとIMAPの基本的な仕組みからそれぞれのメリット、デメリット、使いどころについて解説します。

POPとIMAPの基本の仕組み

メールの受信方法において、POPとIMAPは異なる方式を採用しています。これらのプロトコルは、メールの送信から受信者の端末への到達までの手順や通信ルールを定義しています。

POP(Post Office Protocol)

POPは、メールをサーバからスマホやパソコンなどの端末にダウンロードして受信ボックスに保存する方法です。ダウンロードしたメールは基本的にサーバから削除され、その後はローカルで管理されます。(※サーバにメールを残す設定も可能)操作ごとにサーバとの通信は行われず、オフラインで使用できるため、高速な処理が可能です。

IMAP(Internet Message Access Protocol)

IMAPは、メールをサーバ上に保管し、複数の端末で同じメールデータにアクセスできる方法です。受信ボックスやフォルダの状態がサーバと同期されるため、どの端末からでも一貫した状態でメールを確認できます。

IMAPとPOPのメリット・デメリットは?

POPのメリット

  • 処理が早い: ローカルで操作が行われるため、高速な処理が可能です。
  • サーバが軽くなる: メールデータはダウンロード時にサーバから削除されるため、サーバの容量が少なくても心配がありません。
  • オフラインでも確認可能: ダウンロードされたメールはオフラインで閲覧できます。

POPのデメリット

  • 複数端末での運用に不向き: ダウンロードされたデータは基本的にサーバから削除されてしまうため、他の端末で同じデータを確認できなくなる場合があります。
    ※メールソフトの設定で「メールをサーバーに残す」と設定すれば、受信してもサーバーから削除されません。
  • 端末故障でデータ損失: ローカル保存されるため、端末故障時のメールの消失リスクがあります。
  • 端末の容量に注意: ローカル保存されるため、端末の容量を確認しておく必要があります。

IMAPのメリット

  • 複数端末で運用可能: サーバ上にメールが保管されるため、複数の端末からアクセスできます。
    ※サーバによっては接続端末数に上限があります。
  • 整理状態を保存可能: 既読状態やフォルダの整理がサーバ上で保持され、どの端末からでも同じ状態が反映されます。
  • 端末の故障時に影響がない:サーバ上にメールが保持されるため、端末の故障や紛失によるメールの消失リスクが減ります

IMAPのデメリット

  • インターネットなしでは使えない: サーバ上にデータがあるため、ネットワークがない場所ではメール確認ができません。
    ※メールソフトによっては、既読メールをキャッシュ(一時保存)するため、以前のメールを見ることができます。
  • サーバ容量に注意: メールデータがサーバ上に残るため、容量制限に達する可能性があります。

どちらを選ぶべきかの判断基準

1. 一つの端末のみでメールを使う場合

メールを通常一つの端末で確認し、その他の端末でメールチェックがほとんどない場合は、POPが適しています。POPはダウンロード後にサーバからデータが削除されるため、容量の心配がなく、オフライン状態でも以前のメールを閲覧できます。

2. 複数の端末でメールを管理したい場合

複数の端末で同じメールを管理したい場合は、IMAPが適しています。IMAPはサーバ上でメールが管理されるため、どの端末からでも同じ情報が表示されます。また、メールの整理状態もサーバ上で保持されるため、異なる端末間での整合性が取りやすくなります。

3. メールの整理や返信作業を効率的に行いたい場合

IMAPはメールの整理状態をサーバ上で保持するため、複数の端末で同じ状態を維持できます。特に送信メールの確認やフォルダの整理が頻繁な場合は、IMAPの方が効率的です。

4. オフライン時にもメールを確認したい場合

POPはダウンロードしたメールをローカルに保持するため、オフライン状態でも以前のメールを閲覧できます。一方、IMAPはネットワークが必要なため、オフライン時には基本的にメールの確認ができません。

5. メールサーバの容量が少ない場合

IMAPでは受信したメールを手動で削除しない限りサーバ上に残り続けるため、メールサーバの容量を超えてしまうと受信できなくなります。POPはメール受信時にサーバからメールを自動削除するため、容量が少なくても運用できます。

その他の注意点

メールソフトの設定後に受信設定の変更ができない

例えば、IMAPからPOPへ設定を変更することはできません。そのため、一度IMAPの設定を削除し、POPの設定で再登録する必要があります。

複数のメールソフトでの管理

複数のメールソフトで同じメールアドレスを使用する場合、すべてのメールソフトで受信設定を合わせる必要があります。

IMAPとPOPの設定が混在している場合、POPで受信した後、IMAPで受信しているメールソフトでは同じメールが確認できなくなる可能性があります。この問題は、POPでの受信時にサーバ内のメールが削除されることで発生します。

また、IMAPでは送信したメールも共有が可能ですが、POPの場合、送信メールは送信したメールソフト以外のメールソフトで共有されません。

さいごに

POPとIMAPはそれぞれ異なる特性を持っています。適切な選択をするためには、ご自身やビジネスの使用状況に合わせて検討することが重要です。

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